退職前に知っておきたいお金の制度まとめ【実践版】
作成日 2025/09/02

転職や退職を考えたときに、多くの人が頭をよぎるのは「お金」のことではないでしょうか。
「収入が途切れたらどうやって生活していこう…」
「失業保険って本当にすぐもらえるの?」
「健康保険や年金の手続きって面倒そう…」

こうした不安は誰にでもあるものです。

実は、退職後の生活を支えるための制度はたくさん用意されています。
けれども制度を知らなければ利用できず、結果的に“損”をしてしまうケースも少なくありません。

そこで今回は、退職前に必ず知っておきたい主要なお金の制度をわかりやすく整理し、
手続きの流れや必要な書類、注意点まで実践的に解説していきます。

1. 退職したらまず確認!「失業保険(雇用保険の基本手当)」

失業したときに最も有名なのが「失業保険」
会社員として働いていた方の多くが加入している雇用保険から支給されるものです。

受給条件

  • 直近2年間で通算12か月以上、雇用保険に加入していること

  • 「すぐに働ける状態」であること(病気や妊娠で働けない場合は対象外)

支給額・期間

  • 給付額は退職前6か月の賃金日額の45〜80%

  • 給付日数は90日〜330日(年齢・勤続年数・退職理由によって変動)

自己都合退職の場合は「7日待機+2か月の給付制限」があり、実際にお金を受け取れるのは3か月後というケースが一般的です。
一方、会社都合退職なら「7日待機のみ」で受給が始まるため、早くもらえます。

手続き方法

場所:住所地を管轄するハローワーク

必要書類:離職票1・2、雇用保険被保険者証、マイナンバーカード、顔写真、通帳など

タイミング:退職後すぐ。できれば1週間以内に行動すると安心

👉 ポイントは「離職票が届いてからすぐハローワークへ行く」こと。これが遅れると受給も後ろ倒しになります。

詳細は厚生労働省がまとめているこちらをチェック!

2. 早く転職先が決まったら「再就職手当」を狙おう

「失業保険を全部もらう前に就職が決まってしまった…」という方にうれしいのが「再就職手当」です。

こんな人が対象

1年以上の雇用が見込まれる会社に就職した

失業給付日数の3分の1以上が残っている

前の会社に出戻りではない

支給額

残っている基本手当の60〜70%が一括で支給されます。
例えば、残日数が100日分あれば「約60〜70日分の手当」が現金でもらえるイメージです。

手続き方法

・場所:ハローワーク

・必要書類:再就職手当支給申請書、就職先の雇用契約書コピー、就職証明書

・タイミング:就職が決まったらすぐ申請

👉 「失業保険を長くもらうより、再就職手当で一括でもらって新しい生活を安定させる」選択をする人も増えています。

3. 健康保険はどうする?3つの選択肢

会社を退職すると健康保険も失効します。
ここで慌てないよう、選べる方法を整理しましょう。

① 任意継続

退職前に加入していた健康保険を最長2年間継続可能。

メリット:同じ保険が続けられる安心感

デメリット:保険料が全額自己負担(会社負担分が消えるため約2倍)

手続き
退職日の翌日から20日以内に健康保険組合や協会けんぽに申請。

② 国民健康保険

市区町村役場で加入。前年の所得で保険料が計算されるため、収入が減っても高額になるケースがあります。

③ 扶養に入る

配偶者や家族の健康保険に入る方法。条件は「年収130万円未満」など。

👉 自分にとってどれが一番メリットがあるかを、退職前に必ずシミュレーションしておきましょう。

4. 年金は「免除・猶予」で対応できる

退職して収入がなくなると「国民年金」を払うのが難しくなります。そのときに便利なのが免除や猶予制度です。

・免除の種類:全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除

・猶予制度:30歳未満なら「納付猶予」も可能

手続き
市区町村役場または年金事務所で申請。必要書類は年金手帳・本人確認書類・離職票など。

👉 未納のままにすると将来の年金額が減りますが、免除や猶予なら年金額に反映され、追納もできます。

免除や猶予などの詳細は日本年金機構がまとめているこちらをチェック!

5. 傷病手当金(条件付きで継続可能)

退職前に病気やケガで休職していた場合、退職後も「傷病手当金」を受け続けられるケースがあります。

条件:退職日に「傷病手当金を受給中」または「受給資格がある状態」であること

支給額:給与の約3分の2

期間:最長1年6か月

👉 知らずに退職してしまうと申請できなくなるため、該当する方は必ず事前に確認しておきましょう。

6. その他知っておきたい制度

・職業訓練受講給付金:職業訓練に通う人に月10万円+交通費

・住宅確保給付金:家賃を最長9か月支給(条件あり)

・自治体独自の支援:資格取得補助や生活支援制度がある市町村も

まとめ:退職前の準備が「安心の転職活動」につながる

退職後に利用できるお金の制度は想像以上に多くあります。

  1. 失業保険

  2. 再就職手当

  3. 健康保険の切り替え

  4. 年金免除・猶予

  5. 傷病手当金

  6. その他の支援制度

これらを正しく理解しておくだけで、「お金の不安」がぐっと軽くなります。

転職はキャリアを見直す大切なチャンス。
退職前に制度を確認し、安心して次のステージに進みましょう。

 

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